教えて苫米地先生「AIと共に、人も進化していくプロジェクト」
2026/9/17 更新
AIが教育の現場に入ると、私たちの「学び」はどのように変わっていくのでしょうか。
一人ひとりに合った教材をつくり、いつでも質問に答え、学習をサポートしてくれる――。AI教育と聞けば、そんな便利な未来を想像する人も多いかもしれません。
しかしドクターが構想するのは、単に「AIを使って効率よく勉強する」という教育ではありません。
人口規模で大国に及ばない日本が、AI時代に世界で競争していくためには何が必要なのか。そして、人間がAIから学ぶだけでなく、AIもまた人間とのかかわりの中で成長していくとしたら、教育はどのようなものになるのでしょうか。
そこで生まれたのが、「人と共に進化するAIのオンライン教育開発プラットフォーム」という構想です。
幼稚園から大学院まで、一人ひとりの成長に合わせてAIが教材をつくり、人とAIが互いに学びながら進化していく。そして、その先には、学べば学ぶほど通貨を得られ、教育だけでなく食料や医療にもつながっていく、新たな社会の仕組みまで描かれています。
AIと共に学ぶことで、人間はどこまで進化できるのか。そして、「学ぶこと」がそのまま豊かさにつながる社会は実現できるのでしょうか。
今回は、AI教育から半減期通貨まで、ドクターが描く「学びの未来」について掘り下げていきます。

vol.1 人口で不利な日本が、AI時代に勝つための「教育」
――AIを使うと日本の教育はどう変わっていくのですか?
苫米地 それについてはちょっと前のラジオでも語っているけれど、改めて話しておこうか。
まず俺は、2020年に、「人と共に進化するAIのオンライン教育開発プラットフォーム」というプロジェクトを、京都大学と一緒にやっているのね。経産省の、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDOから予算をいただいて。
そこで言う、「人と共に進化するAIのオンライン教育開発」の、「AIの」という部分には2つの意味合いがあるわけだ。「AIを使って教育を高度化していく」というのは、「AIをいかに上手に使っていくか」、だよね。「AIを社会の中で使う」ということは、国民全部がユーザーとして使っていくわけで、どこよりも上手に使うことができれば、社会全体の生産性も上がっていく、イコール「GDPが上がる」。もうひとつは、「AIそのものの中身を学んでいく」こと。AIの使い方ではなくて、数学であったり、原理であったりを学ぶということだね。
この2つにおいて鍵を握っているのは人口。世界はこれからAIの開発競争になるから、「次世代のAIエンジニアを育てたら勝ち!」みたいな世界になるわけだ。そういう中で、天才の生まれる確率が100万人に1人ぐらいだとしたら、人口14億人の中国と1億2000万人の日本では、天才が出てくる確率がそもそも10倍以上違ってくる。だから、人口が多い国のほうが普通に有利になっていく、というのはファクトだよ。この前提は、「AIを社会の中で使う」という最初の意味合いでも同様で、国民全部がユーザーとして使っていく場合、使う人口が多いほうが生産性は上がる。
――中国に勝てそうもないんですか? 日本は。
苫米地 逆にこういう中で日本が世界で勝っていくためには、質のいい学習や学習環境が重要になってくる、という話。そこで考えたのが「人と共に進化するAIのオンライン教育開発プラットフォーム」というプロジェクトね。これはNEDOのテーマでもあるんだけど、俺たちのプロジェクトでは、AIに、幼稚園から学校に行かせようと思った訳。生徒と一緒に、幼稚園から大学まで行けば、人とともに進化するよね。やっぱり、人とのコミュニケーションから学ぶことはあるでしょ?
AIにも人間同様の人格形成は必要なことで、人間と同じように会話をして、仲良くしたり、喧嘩したり、イジメられたり、イジメたり、といった経験をして、大人になって初めて人格になる。逆に、そういう人格じゃないとスーパーインテリジェンスになってもらっては困るわけ。これを今風の論理で言えば、「生成AIをポンと置いておけばいい、という論理では足りないよ」ってこと。そうやってAIを育てていく、ということをやったんだけど、国のテーマは「人と共に進化する」だから、AIが成長するだけじゃ足りない。AIと同時に、人も進化することを望んでいる。そこもかなり重要なテーマになっている。
(vol.2に続く)
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