教えて苫米地先生「いつまでも健康でいる為に、身体と環境のバランスを考えて生活する」
2026/3/ 4 更新

人は誰しも、いつか病気になったり、健康を害します。
それが定年前であれ、いわゆる「第二の人生」と呼ばれる時期であれ、体の不調は突然やってきます。
しかしドクターは、まずこう問い返します。
「そもそも『第二の人生』なんてあるの?」と。
人生は最初から最後まで一続きであり、区切りをつくっているのは制度や思い込みにすぎないのではないかとの指摘は、もっともでしょう。
さらに、がんをはじめとする病気についても、「環境とホメオスタシスの異常」という視点から捉えるべきだと語ります。
健康とは絶対的な状態ではなく、一定のバランスの問題にすぎない。
「100%健康な人なんて、この世に一人もいない」という言葉は、その前提を端的に示しています。
落胆する前に何をすべきか。
仏教の「毒矢のたとえ」を引きながら、「その前に矢を抜け!」と語るドクターの姿勢は明快です。
本講義では、病気をきっかけに、「健康とは何か」「人生と死をどう受け止めるか」を、身体と環境の関係から考え直していきます。
vol.1 がんは特別な病気ではない
----先生、私事で恐縮なのですが、先日、喉頭がんの疑いがあると言われてしまいました。これから入院して生体検査をするので、その結果次第なのですが、なにかアドバイスをいただけたら嬉しいです。
苫米地 いろいろ心配事があるの?
----実は、不思議なことにあまり心配はしていないのです。喉頭がんは放射線療法でだいたい治る、ということらしいので。一つ心配事を挙げるとすれば、喉に放射線を当てると唾液腺が潰れて唾液が出なくなる、というのが嫌だなぁ、というぐらいです。
苫米地 まあ、そのぐらいなら大丈夫だろうね(笑)。がんに関してはいい医者を知ってるし、いい治療法もある。ただし、それで治るかどうかはわからない。なぜなら、がんは普通の病気とは違うから。がん細胞は、すべての人に平等に、毎日約5000個ぐらい因子が発生していて、それがなんらかの理由で偶然育ってしまったものなんだよ。
----そうですよね、先生が昔書かれたがんの本にもそう書いてありました。あの本の編集は僕がしていたので、その経験があったから、「がんかもしれない」と言われても案外平気だったのかな、と思っています。
苫米地 そういうのはあるよね。病気をよく知って、ムダに怖がらないことは大事。俺のがんの本はもうないから、電子書籍とかにしておくといいかもね。
----健康な人こそ読んでおくと、いざという時に平静を保てますよね。実際、僕がそうでしたから。
苫米地 改めて、簡単にがんについて説明すると、細胞分裂の際の遺伝子のコピーミスだったり、生活習慣の変化だったり、ウイルス感染だったりがきっかけになって、因子が暴走した結果なんだよ。残念なことに、特定のきっかけなのか、複合的なのか、も含めてまだよくわかっていないんだけどね。ただ、環境とホメオスタシスの異常が原因、とは言えるかもしれない。とにかく、はっきりした原因はまだ発表されていない。いまわかっていることは、毎日約5000個も、がん細胞の因子が発生するということ。ということは、これは人類にとって必要なことかもしれないよ。なぜならDNAを書き換えるという作業をしているからね。まさに人類の進化に関係しているかもしれないんだ。実際、そういう主張をしている学者もいる。だから、がんは、ほかの病気とは全然別、と考えたほうがいい。よって、俺たちができることは、いまある治療に取り組むことだけだろうね。と同時に、環境とホメオスタシスの異常である、いうことを理解すること。
----環境というのは生活習慣の変化、生活環境の変化ということですか?
苫米地 "日本人"の生活環境の変化、生活習慣の変化だよね。戦後の日本は、生活習慣をGHQによってかなり変えられてしまった。その際たるものがメリケン粉だよ(笑)。なぜ、小麦粉のことをメリケン粉って言っていたのかというと、GHQがアメリカで大量に余っていた小麦粉を日本に持ってきたから。関西のたこ焼きや明石焼きの文化は、戦後に、大量に入ってきた小麦粉と、造船所が近くにあったので船舶用の鉄板が手に入りやすかった、ということから生まれたもの。だから、あれは戦後の食文化で、小麦は日本のものではない、ということ。乳製品もそう。脱脂粉乳という形で無理矢理飲まされたんだよ。俺はその時のことをいまでも覚えているけど、マズかったよ(苦笑)。だから、うちの秘書が食事の時に「ピザを食べる」とか言った時、俺は、「それ非国民だよ」って言っちゃった(笑)。
----小麦とチーズの塊ですもんね(笑)。
苫米地 最近になって「グルテンフリー」とか「小麦粉を控えましょう」とかやってるけど、小麦もチーズも、もともとは、俺たち日本人は食べていないんだよ。最初からグリテンフリーだったんだって。それを戦後の80年で壊してしまったことで問題が生じている、というのは確実にある。
あと、環境で言えば、杉だよね。高度経済成長の時に、山の広葉樹を伐採して杉を大量に植林したことで生態系が変わってしまった。広葉樹は雑木林を作るし、木の根元には草木が生える。でも杉は、高く成長すると地面に日が当たらなくなって雑木林が消滅するんだよ。すると小動物も住めなくなるし、クマなんかも住めなくなってくる。最近ではソーラーパネルまで出てきて山林を伐採しているから、日本の環境はずっと悪化している。山からクマが降りてくるのも当然なんだよ。
(vol.2に続く)
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