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教えて苫米地先生「現状のAIと、多国籍テクノロジー企業が誘導する、我々の未来について考えてみよう」

2025/9/25 更新

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今回の講義では、「AIが作る未来」をテーマに、私たちの選択が導く未来の本質に迫ります。

私たちはAIに大きな期待を寄せています――。
生活を便利にし、仕事を効率化する夢の技術だと信じ、日々その恩恵に浴している人も多いでしょう。

しかし、その未来は本当に「私たち自身」の望むものなのでしょうか。
利便性の裏で、巨大テクノロジー企業やその株主に操られる世界へと進んではいないか。

ドクターは鋭く指摘します。
「AIが人類を支配するのではない。AIを握る一握りの者に、人類が支配されるのだ」と。

AIを「人間らしい」モノマネに留めるのではなく、火星の軌道計算のような、人間を超えた領域で輝かせること。
そこに、真の可能性と自由な未来を切り開く鍵があります。

AIが描くディストピアとユートピアの境界を、あなた自身で見極めるための「思考の土台」が、この講義で明らかにされます。



Vol.1 AIは「エンターテインメント」から始まる

――以前もお聞きしたのですが、AIが作る未来ってどんな世界になるんでしょうか? よく言われるように、ディストピアになるんでしょうか?

苫米地 前回「AI」をテーマに話した時にも言ったと思うけれど、基本的には、素人が使うAIってエンターテイメントなんだよ。例えば、ヒューマノイドの画像とか凄いよね。人間が見て可愛い女の子、カッコいい男の子とかを簡単に作っちゃう。あれは、ディープラーニングでモテそうなタイプの合計で作るから男前や美人になるんだわ。それに個人個人の好みのデータを入れて調整すれば、その人にとって理想の恋人が、簡単にできるよ。

――そういえば、最近、アダルトビデオでもAI女優が出てきています。

苫米地 アダルトなんてまさにそうでしょ? 個人の嗜好に合わせて顔と身体を作って、どういうシチュエーションが萌えるのか、まで、作り込めるよ。

――ということは、女優さんはもういらなくなると。

苫米地 と、誰もが思うけれど、そこは少し違って、要らなくなるのはプログラマー。

――えっ、そうなんですか!? AIを作る側は逆に需要が出てくると思ったんですけど。

苫米地 女優さんは絶対に必要。リアルってそういうものだから。もちろん、厳選されるけれど。一方、プログラマーが必要じゃなくなるのは、それこそChatGPTに頼んだらすぐに作ってくれるから。「これこれ、こういうソフトウェアが欲しい」って説明すると、「わかりました」って、すぐに出してくる。しかも、プロンプトは自然言語なので、コンピュータープログラミングも自然言語で済んじゃう。なので、今後、プログラマーは2、3年で失業するかもね。ただ、人間のコストのほうが安いので、そういう部分では生き残るかも。実際、いまだってとっくに自動プログラミングがやっているのだけれど、人間もまだやれているのは、コストの問題。ある日、一気にコストが下がる時が来る。あと、人間の要求するスペックって意外と低い、ということがわかってきて、ChatGPTの4.0ぐらいで十分なんだよ。5.0とか要らない。この前、出たばっかりだけれどね(笑)。
ただ、バージョン上がるにつれて幻覚リスクは下がる。一方で、CPU負荷はどんどん上る。社会的には、コスト対効果で、それぞれの時点でよく使われるAIバージョンが決まって行く。ビジネス的には最後にどこか一社が勝ち抜き、一度トップを独走し始めると、AI企業の限界費用はGPU代と冷却水コストぐらいだから、やがて2位以下はついて行けなくなる。AIによるディストピアは、AIが人類を支配することではなく、やがて一社に収束するAI提供会社の株主に、人類が支配されること。頭の中身まで含めてね。

――それがディストピア。。 

苫米地 ほとんどの人が理解する前に、AIはどんどん先に進んではいるけど、ただし今は、どうでもいい方向に進んでいる、というのが正しい。人間に対して「いかに人間っぽく思わせるか」って方ばかりに進んでいて、本来行くべき方に向かっているかは疑問。AIが本当に必要な場面って、火星に行くための軌道を計算させたり、とかだよ。人間じゃできないような、すごく大変な計算をさせることなんだよ。ところがいまは、「いかに人間っぽくさせるか」って方向でしょ。それって、言い方は悪いかもしれないけど、AIに「バカになれ」って言っているのと同じだからね(笑)。

――確かに、言われてみれば(苦笑)。

苫米地 人間の代わりなんて、AIにしてみたら、たわいもないことなんだよ。だって、人間にはもともと、そんなに賢い人はいないよ。それなのに、「人間らしくする」ってどういうこと? 「わざと間違えろ」ってこと? 「わざと精度を落とせ」ってこと? それは逆に、AIにとって苦手なことをやらせているってことだよ。
 いま生成AIがもてはやされているのは、「人間らしいから」でしょ。本末転倒だよ。結局、自分が何を言っているのかは、わかっていないんだよ。特にヤバいのは、全部、多数決でしょ? それをやったら最先端の学者は絶対に負けるよ。最先端の知識が多数決に負ける。それが生成AIなんだよ。

(vol.2に続く)

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