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教えて苫米地先生!「フォートトークに親しむことで、近未来の認知戦に対する防御力を養おう」

2024/4/23 更新

前回に続き、ドクターが率いる「コグニティブリサーチラボ」が開発した次世代コミュニケーションツール「フォートトーク」についてのお話が続きます。

セキュアなメッセンジャー機能にとどまらず、画像や文章の生成など、さまざまなAI連動の機能を備えた「フォートトーク」。
そこには、来るべき未来における我々の生活や、さらに「あらたなる戦争の形」をも投影されていくというのです。

どういうことでしょうか?

ここから話は、ドクターの専門領域である「認知戦=コグニティブワーフェア」に移行します。

これまで認知戦といえば、情報を操作し、陸海空で兵器を用いて展開される戦術を優位に進めるというイメージが持たれていましたが、これからは「人の認知」自体が戦場となり、その認知戦を制することが、戦争という外交手段における勝利を意味することになるというのです。

それには、ターゲットとする人々の認知に影響を加えるメディアや、そのメディアに流される情報をコントロールする必要が出てきますが、ここで「フォートトーク」とは切り離せない「メディア」「情報」「AI」などの要素が絡んでくるのです。

ドクターが想定する「コグニティブワーフェア」はすでに始まっています。そして、あなたの認知領域も、すでに戦場になっているのかもしれません。

今回の講義で、コグニティブワーフェアの最新概念を学び、「フォートトーク」の各機能を実際に体験することで、まずは我々が認知戦に巻き込まれるとはどういうことなのかという臨場感を持ってみましょう。
そこから、「未来の戦争」をなくすための思考がスタートするのです。


Vol.1 vol.1 メディアコントールの現実と限界

――前回は「『フォートトーク』はただの遊びじゃなくて本格的な認知戦の入り口を体験できる。これを知っているのといないのとでは数年後大きく変わってくるはずだよ」ということで終わりましたので、今回凄く楽しみなんです(笑)。

苫米地 いや、数年後じゃなくて、もしかしたら来年にも変わるかもしれないよ。そういう技術の一端が「フォートトーク」には入っていて、スマホでそれが体験できるということね。ただし、具体的にどんな体験なのかの説明をしても無意味なのね。どういうことかというと、これからの認知戦の領域が変わってくるって話になるから。

――領域がですか?

苫米地 コグニティブワーフェア(認知戦)は昔のサイオプスとは違いますよって話を前回したでしょ。サイオプスは戦術兵器だから、すでにある陸海空ドメインの戦術の中で効果をあげるために使うわけだ。ウクライナ戦争だとお互いに通信を傍受している中で、士気の下がった部隊を狙うというのをやってるわけね。士気が下がった部隊を探すのはコグニティブワーフェアだけど、攻撃はあくまで大砲やミサイルでしょ。だから、コグニティブワーフェアはこの場合はまだツールなんだよ。相手国の国民の認知に対して影響を与えるのも広い意味で認知戦だけど、それはあくまでも武力行使の一部としての使われ方でしょ。ということは、いまはまだ陸海空がドメインという捉え方だよね。

――そうですね。でも、そういうものなんじゃないんですか?

苫米地 違う。これからは人の認知そのものがドメインになるってこと。簡単に言えば、人の認知そのものが戦場になるってことね。

――人の認知が戦場!?

苫米地 これを理解できるかどうかで、これからの認知戦、これからの戦争、ひいてはこれからの現実のすべてが変わってくるってことなのね。

――えーっ! 日常まで変わるってことですか!?

苫米地 そうだよ。じゃなければ「フォートトーク」が関係してくるわけがないじゃん(笑)。しかも、それは来年にも来るかもよ?ってそういう話をしているのね。ところが、多くの人はほとんど理解できてないし、ヘタしたら軍の幹部だってわかってなかったりするからね、軍って日本じゃないけど(苦笑)。だから、今回話すことって凄く重要なんだけど、ほとんどの人が気が付いてないし、気付いた時にはもう"現実"が変わっていたりするからしっかり聞いてほしいんだよね。

――心してお聞きします!

苫米地 ということで、コグニティブの話に戻るけど、認知戦っていまは戦術兵器じゃなくて戦略兵器になってきてることはもう知ってるよね? これまでも何回も言ってきてるから、クラトマの会員はわかってると思う。それでも簡単に言っておくと、戦術と戦略の違いは、民間人を狙うかどうか。だから、原爆は戦略兵器なわけね。そしていま認知戦のターゲットは、知識のない国民にひろがって、戦略兵器化してるわけだ。その一つが偽情報をばらまくという、いまのコグニティブワーフェアの中心的なやり方ね。SNSを利用してニセ情報を大量拡散しているよね? 
なぜ、マスメディアじゃないのか?というと、マスメディアがニセをやるのは難しいから。彼らは自分で取材するので。もちろん垂れ流しの情報もいっぱいあるし、ニセ情報もいっぱい流しているけどね、現実には(苦笑)。でも、それは自国の政府が、自分の政策をするのにやりやすい情報を流しているわけで、それを相手国に対して、というのは難しい。自国のマスメディアはコントロールできるけど、相手国はなかなかできない。
 そこで考え出されたのが実はCNNなのね。あれはアメリカの利益に則った情報を全世界で流すためのマスメディアとして発明されたもの。フランスだったらフランス24とかね。全世界で、ケーブルテレビで流すチャンネルというのは認知戦の役割を果たしている。ただし、彼らもウソはつけない、間違った情報もしくは偏った情報は送ることはあるかもしれないけど(笑)。明らかに前回の大統領選の時にはバイデンさん寄りだったからね、CNNは(笑)。だけど、真実を報道する、という前提だよね。そこが現代の認知戦とは違うところなんだよ。

――現代の認知戦はニセ情報をばらまくと。

苫米地 それを可能にしたのがソーシャルメディアなんだってこと。なにしろ、SNSはそれが正しいかどうかを調べないで拡散してくれるからね。さらにSNSのオーナーたちのポリシーまで反映される。それが、国民が信頼する情報媒体になっているということだよ。だったら「ファクトチェックすればいいじゃん?」って思うかもしれないけど、それは難しい。なぜなら、国がやると検閲になるから。なので、ファクトチェック機関をどうしよう、という話にこれからなっていくと思うけど、国はやりづらい。国の予算で第三者が技術を提供する、というのが基本になってくる。具体的にどうするのかというと、ある一つのことに対して複数のソースを全部チェックする。これはオープンソースから探すことができるよね。よって、おそらくコグニティブワーフェアの防衛は、オシントがこれから重要になってくる。オープンソースの中で、逆の意見を大量に探すことができて、それがどこの誰が言ってるのか、のモデルができれば、どっちがより正しいかはわかってくるわけだからね。
 あとは生成AIが出してくる情報もチェックしないといけない。なぜなら生成AIが出してくる情報って特定の個人に対して出してくるもので、ネットに流れてるものとは違うんだよ。例えば、ChatGPTであれば、たった一人のユーザーの問いかけに対して、パーソナライズされた答えを出してくるわけだ。

――密室の情報っぽいんですね。

(vol.2に続く)

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