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教えて!苫米地先生「"俺は凄い" というセルフトークの効果と誤解」

2021/2/26 更新

セルフトークとは、文字通り、自分自身に語りかける言葉。もはや説明不要でしょうが、コーチングにおいても重要な概念のひとつです。

セルフトークをコントールすることで、自分の意識は大きく変わり、結果、思考や行動も大きく変わっていくのです。つまり、ゴールを達成するには、このセルフトークを使いこなすことが必須といえるでしょう。

しかし、このセルフトーク、とにかくポジティブな言葉を投げかければいいというものではありません。「自分は凄い!」という最強のセルフトークも、この"凄さ"が何を意味しているのかを理解していなければ、自身の脳までコントロールすることはできないのです。

もちろん、クライアントをコーチングする際も、同じくセルフトークへの正しい理解は不可欠です。

そこで今回の講座では、セルフトークの仕組みと重要性を「凄い」という言葉を軸に、ドクターが掘り下げていきます。

さらに、その延長線上にある非言語による相手への働きかけの秘密にも話が及びます。

そして、「北斗の拳」のケンシロウも実践していたとおぼしき、内政言語への働きかけの極意とは?

この講座を踏まえて、あなたも今日から、セルフトークの実践を強化していきましょう。


Vol.1 一日中「俺は凄い」と心の中で言う

──最近立ち上がる時に「よいしょ」とか、つい言ってしまうんですが、これってセルフトークなんでしょうか?

苫米地 おじいちゃんがイスから立ち上がる時に言うよね。それは一番わかりやすい、典型的なセルフトークだよ。なぜなら、本来「よいしょ」とか言わなくたっていいわけだから。言わなくたって立てるのにわざわざ言ってるっていうのは「さて、これからキツイことをするぞ」と心の中で思っているからだよね。

──確かにそうですね。「そろそろ立つか」「踏ん張るか」とは思ってますね。

苫米地 俺だって長い階段を登ったあとは「超くたばったぁ」とか自分で言っちゃうから「ヤバい、ヤバい、セルフトークしてしまった」とか思うよ(笑)。だから、みんな結構やってるんだけど、別に珍しいことじゃないわけ。なぜなら、そもそも、俺たちは生きてる間中ずっとセルフトークをしているからね。言語化している場合もあれば、言語化されていなくてイメージの場合もあるけど、一日中、自分自身に語りかけているんだわ。寝ている時だって夢という形でセルフトークしているから、当然、自分に対して強い影響を与えることになる。だから、口で「よいしょ」という人たちは、頭の中ではその何百倍も「歳取ったな」とか、「目が悪くなっちゃったな」とか言ってるってことね。ということは「よいしょ」を言った瞬間、ますます老人化するのは必然だよね。なので、日頃からそうならないようにクセをつけておくっていうのは大事なこと。もちろん、このぐらいのことはクラトマ会員であればすでに知ってるし、実践してると思うけど、無意識の力は強いからね。

──例えば、ふとした瞬間に「よいしょ」と言ってしまった時は、言い直せばいいんですか?

苫米地 それでいいと思うよ。「俺らしくなかったな」で。「気づいた俺は凄いヤツだ」って(笑)。あと、セルフトークの基本は、うまくいったら「よし、さすがは俺!」でいいし、うまくいかなかったら「おっと、俺らしくなかったな」と言えばいい。それを自分の心の中だけで言い続けることね。本当に言葉に出すと変な人だと思われるからね(笑)。そもそも言語というのは強い想起性があるから、言葉にわざわざすることがいいんだよ。言語は人間が獲得した6つめの器官だってことは前から言ってるよね、五感プラス言語。しかも、言語は五感に対して圧倒的な影響を与えるわけ。いい匂いだと言葉にすれば、いい匂いに感じてくるし、キレイだと言えばキレイに感じてくるわけでしょ。ということは抽象空間にも圧倒的な影響を与えるのが言語ってこと。だから、コーチングではアファメーションとしてわざわざ紙に書いて朝と昼、夜寝る前の一日3回ぐらいは唱えなさいと教えるわけね。でも、本音を言えば、一日中、「俺は凄い」と心の中で言うだけで十分なんだわ。できれば、1分間に10回ぐらい言ってほしいね。最低でも1分間に1回ぐらいは言っていれば書く必要なんかないし、効果も抜群。

──できる限り多く、「俺はなにをやっても凄い」と唱えればいいんですね。

苫米地 そうだよ。ただし、「凄い」の定義を自分でわかっておくことが重要ね。それは現状の外にゴールを設定して、それを達成できるから。しかも、そのゴールは社会に凄く役に立つので、誰にも文句はいわせないし、納得してもらえる。だから、「俺は凄いヤツだ」っていう意味ね。つまり、「俺は凄いヤツだ」というのは「ゴールを設定して、そのゴールを達成できる俺は凄いヤツだ」を短く言ってるだけってこと。そして、それを常に心の中で言い続けているから意味があるんだよ。

──単純な話、思ったような結果が出なかった時でも「俺は凄いヤツだ」でいいんですか? 

苫米地 うまくいかなかった時は「俺らしくなかった」だね。それは「俺は凄いヤツなのに、俺らしくなかったな」という意味なんだけど、多くの人は「俺らしくなかった」だけでは足りないみたいだね。実はそこに多くの人がセルフトークを理解できない秘密が隠れているわけ。

──セルフトークの秘密?

苫米地 そう。なぜなら、大抵の人は思った結果が出ないと落ち込むでしょ。落ち込んだ状態で「俺は凄いヤツだ」って心の中で唱えてもリアリティある? 全然ないよね。逆に「でも、そうは言っても負けた俺は凄くないよ」「うまくいかなかったからダメじゃん」とか思っちゃうわけでしょ?

──そうです、そうです! それがとても苦しいんです!

苫米地 だから、そこだよ。「なぜ凄いのか」がわかっていないからそうなるの。凄いのは結果に対してじゃなくて、ゴールが凄いの。わかる? 多くの人はうまくいったから「俺は凄い」と思うわけでしょ。「成功したから俺は凄いんだ」と。でも、その「凄い」はゴールが凄いからじゃなくて、成功したからであり、勝ち負けで言えば、勝ったからでしょ。それってゴールでもなんでもないじゃん。勝ち負けでしょ、こだわってるの。勝つことが素晴らしくて、負けるのはダメなことだと思い込んでいるからそうなるんだよ。

──ああ、確かにおっしゃる通りですね。う〜ん、でも、スポーツの試合だったら勝ち負けは大切なんじゃないですか?
(Vol.2に続く)

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